小川正美 人生はホントの自分に戻る旅。

普通の会社員から離婚して無職になり一念発起、弁護士になった私の半生とこれからのライフワークを綴ります。

花と家族と。

横浜は大岡川の桜。

 

母は、花を愛した人だった。

 

とりわけ、大岡川の桜を愛していた。

 

会社の同僚(彼女は仲間として同僚たちに接していたと思う)とワイワイ花見をすることもあれば、

会社からの帰り道、途中下車をして、1人ビール片手に花見をしていたこともあった。


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なぜ私がそんなことを知っているかと言えば、母が語っていたからだ。

 

仲の良すぎる親子だったのかもしれない。

 

でも、おかげで、たくさんの優しさを貰った。

 

父が亡くなって数年の間、夜、時折、母の部屋から嗚咽が聞こえた。

 

それは、嗚咽というには余りにも大きく、動物的で、断末魔の雄叫びのようだった。

 

世界が終わるような。慟哭。

 

実際、私たち家族の小さな世界は、父が亡くなって一転した。

 

母は10数年ぶりに働かなければならなくなったし、

私と弟は転校した。

私は、転校先でなかなか馴染めなかった。

 

どこか、ここは、私の居場所ではない気がした。

 

 

幼い私は、父を恨んだのかもしれない。

世界を変えてしまった父を。

母をあんなにも泣かせる父を。

かもしれない、というのは、顕在意識的には、私は父のことも愛しているからだ。

 

あんなに愛してもらったんだから、憎んではいけない、

と、抑圧してきた思いがあるのかもしれない。

 

長い間、自分のワガママで父を死なせてしまったのではないかと罪悪感も抱えていた。

 

父と母はケンカ別れをしたわけではないが、

少なくとも物理的にはバラバラになって、

私は、父と母のどちらかに味方をしなければならないような、でも二人とも好きなのに、という心を引き裂かれたような気持ちになった。

 

今でも、人の争いが苦手だったり(こんな仕事をしているのに!)、幹事をすると気遣いし過ぎて気疲れしてしまうのは、ここに根差しているのかもしれない。

 

けど、両親は、そんな私の気持ちにはお構い無く、

今ではきっと、お空の上で仲良くしている。

 

私も、自分と仲直りする時なのかもしれない。

 

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母が愛した大岡川の桜。

 

友人との集いで、この春、偶然、見ることになった。

 

 

行った後になって、そうか、あれは大岡川だったのか、と気がついた。

 

おそらくは父譲りの、自分の間抜けさに、母譲りの自分の厳しくも優しいツッコミが入る。

 

もう、しょうがないわねえ。

でも、人生、上手くできているね。と。

 

 


☆私の半生 ①自然の中の原風景と父の死

☆私の半生 ②普通になりたかった青春時代。

☆私の半生 ③離婚、そしてがむしゃらへ。

☆私の半生 ④ロースクール受験を決意(前編) 崖っぷち!

☆私の半生 ⑤ロースクール受験を決意(後編) 母を助けられなかった。

☆私の半生 ⑥ロースクール入学、母の死

☆私の半生 ⑦合格、そして弁護士になる。