街というものは不思議なもので、
通りを一本挟んだだけで、ガラリと雰囲気が変わることが、ままある。
土地の磁力のようなものなのか、
人々の意識の力なのか、
理由は分からないけれど、
フラリと通りを入っただけなのに、「ここは危険だ。」と感じる場所が、確かにある。
JR石川町駅も、そのひとつだ。
駅の南側は、言わずと知れた元町商店街、中華街、お嬢様学校や高級住宅街。
北側には、風俗店、ラブホテル。
そして、家庭裁判所がある。
横浜で思春期と20代前半を過ごした私は、「石川町駅の北側には、行ってはいけない。」という知識を、いつの間にか持っていた。
今、私は、仕事で、駅の北側の家庭裁判所に行っている。
いくつかの風俗店やラブホテルがあり、朝から飲んでいる人たちもいるけれど、なぜか、昔感じたおどろおどろしさは、感じない。
その理由は、
明るい時間にしか行かないというのもあるし、
街自体が昔と比べてキレイになったこともあるし、
私が危険への対処方法を知る大人であることもあるだろう。
駅の北側に、行ってもいい。
子どもの頃の冒険心と、目の前の案件が落ち着くべきところに落ち着くという信頼を抱えて、
私は、駅の北側に、行く。
※写真は代々木八幡宮(笑)