小川正美 人生はホントの自分に戻る旅。

普通の会社員から離婚して無職になり一念発起、弁護士になった私の半生とこれからのライフワークを綴ります。

『海辺のカフカ』読了。

いやはや。

時間がかかりましたが、村上春樹著『海辺のカフカ』を読み終わりました。やれやれ。笑

 

この作品は文庫本は上下巻になっており、私は、上巻をおそらく6年くらい前に買って、50ページほど読んでから、ずっと放置していました。

ところが、先月、ふと思い立ち、読み始めたら、面白いではありませんか。

 

内容は、ネタバレにならない程度に言うと、世界一タフな15歳の少年の許しと愛の物語。

もちろん、喪失と再生、サバイバル要素もあります。

 

自分を捨てた母の行為は、愛がなかったからではなく、むしろ愛が強いゆえに、母自身の過去の喪失体験に起因する怒りと恐怖に支配されてのことだった、と、母のことを自分のこととして受容し、許し、

それでいて、自分は自分として生きていく。

圧倒的な恐怖と怒りを継承反復することなく、自分のところで、終わらせる。

それが唯一の救いだと。

 

 

虐待や差別、先輩や上司によるイジメなど、人を傷つける行為は、より弱い者に連鎖しがちです。

 

それは、傷つけられた人の傷が、「こんなにも痛かったんだ、悲しかったんだ。」と疼くから。

 

でも、いくら傷つけられたからといって、傷つけた当の加害者にではなく、弱者たる第三者にその痛みをぶつけるのは、

より弱い者ならば自分がやり返されることはない、という狡さ、甘えだと思います。

 

ただ、その狡くて甘えた行為で、よりいっそう本人は、罪悪感で苦しむ。

たとえそうは見えなくても。

 

負の連鎖を終わらせる。許す。

 

 

その決意を実践することは、日々辛い目にあっている人には、とても難しいことだと思います。

 

まずは、自分の心身を守ることを、何よりも優先すべきです。

負の連鎖を終わらせるには、つまり相手と自分を許すのにも、余裕が必要だから。

そして、負の連鎖に対峙し終結させることを「選んだ」自分自身の中にある怒り(悲しみ)や恐怖を見つめて、己の生きる力を信じることが必要だから。

 

 

圧倒的な怒りと恐怖を継承、反復しないためには、優しさだけでなく、強さが必要。

強さ、って、攻撃的なものではなく、己の弱さや醜さをどこまでもそれが自分だ、と、受容しその上で変わろうとする勇気を持つこと。相手を変えようとしない、流れに身を任せる強さ。

 

あ、以前の記事に繋がった。

 

やっぱり、今、必要な本は、必要な時にやってくる。

 



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