小川正美 人生はホントの自分に戻る旅。

普通の会社員から離婚して無職になり一念発起、弁護士になった私の半生とこれからのライフワークを綴ります。

弁護士から見る人間心理。きょうだい間の争いについて。①

皆さま、こんにちは!愛し合っていますか?

 

今日は、私が相続案件等で体験したきょうだい間の争いの心理についてお話したいと思います。

 

相続(遺産分割)は、骨肉の争いと言われますよね。

遺産分割を進めるプロセスは、①まずは当事者同士の協議→②話し合いがまとまらない場合、弁護士を介入させる→③それでもまとまらない場合、家庭裁判所に調停を申立てる→④調停でもまとまらない場合、審判(家庭裁判所の裁判官が遺産分割の内容を決定する)、ということになります。

当然のことながら、当事者(相続人、受遺者(遺言により遺産を贈与された人))が多数になればなるほど、意見が割れる可能性が高くなりますのでなかなか決着がつきません。私が担当した案件では、最長6年かかって調停が成立しました(調停係属中に相続人の方がお亡くなりになってさらに相続人が増えるという・・・)。

 

遺産分割協議の話だけでも、ブログ記事を数本書けるくらいですが、今日は、実は、遺産分割が終わった後も争いの種が残る場合がある という話をしたいと思います。

それは、遺産の中に、同族会社の株式がある場合です。

著名な事例でも、横浜の革製品ブランドのKmuraさんや、京都のI澤帆布さんなど、初代が亡くなった後に後継を巡り兄弟間で紛争が起きたことはご存知の方は多いかと思います。

そして、著名でない(というと失礼かもしれませんが)会社であっても、同族会社の支配権を巡って、遺産分割が終了した後もきょうだい同士で争い続ける例は、かなり多いと感じます。少なくとも、私は、複数の案件の経験があります。そして、その憎しみの火花、いえ業火の強烈さときたら、一般的な離婚調停や離婚訴訟の比ではありません(遺産分割案件でも調停に行かず任意交渉ですんなりと合意に至る例も多いですし、離婚事件でも代理人を殺してしまうような案件がありますから一概には言えませんが)。

 

こうしたケースは、法律的には、会社の支配権争いの問題に移行していますから、争おうと思えば、いつまでもいつまでも争うことができるんですね。それこそ、数十年にわたって。

私は、昔、先輩弁護士から、【遺産分割は親の愛情の奪い合い】という名言を聞き、ほんとそうだよねー、と心の中でいいね!ボタンを10回くらい押しながら肯いたものでしたが、遺産分割が終わっても、親の愛情を奪い合う人たちもいるのです。

 

私の経験上では、みなさん、結構、年配の方々です。

  

正しさを使って子供の頃の満たされなかった思いを爆発させたり、

正しさを使ってきょうだいを意のままにコントロールしたり、

それに反発が起こったり。

 

「大人(長子)だから」 「誰かがやらねばならない」といった理由で、我慢を重ねてこられた人は、自分の悲しみや分かって欲しいというやるせなさといった感情が爆発して、

他方で、我慢して役割を背負ってきたきょうだいに甘えてきた側の人は、意識はしていないけれど心の底で罪悪感を感じて、後ろめたい気持ちが大き過ぎて、逆ギレのような態度をするようです。

 

争いを止めて本当の意味で仲直りをするには、この構造に気がついた誰か(多くは犠牲をしてきた側)が、「誰も悪くない」ということを受け容れて、被害者でもなく加害者でもない態度を選択し続けるほかないのですが、そもそもの争いの発端が犠牲をしてきた側の怒りの爆発であることも多く、そうすると、当事者全員が争いの中毒症のようになって、ケンカをずっと続けることも少なくありません。

 

そして、弁護士は、そうした戦いの道具として、傭兵として働くことを求められがちです。

弁護士としてできることは、調停・審判や遺言無効等が絡む場合は訴訟提起のリスクを説明して相手方と交渉すること、介護等を考慮した実質的な公平性を主張しかつ一定程度の譲歩を提示して早期解決に導くこと、本格的な紛争になった場合に備えて証拠収集等の準備をすること、などです。

 

私の場合は、加えて、犠牲をしてきた人の心の痛みを受け止め、クライアントさんが抵抗がない場合はその原因を分析し、心が楽になる考え方(怒りのあまり相手方ばかりを見ず、ご自身に集中してご自分の価値を自分で正当に評価してもらうこと等々)や生活習慣を提案しています。

 

なにせ何十年にもわたって蓄積された怒り(の底の悲しみ、やるせなさ、理解して欲しいという気持ち)であり、遺産分割が解決してもなお争いを継続するほどですから、なかなか一筋縄では解決には至らない、というのが正直なところです。

相手がいることですから、相手方の気持ちはコントロールできませんし。

 

ただ、ご自分の真意に気が付いて、ご自分が戦いを止めることで、内なる平和を築くことは、できます。

真意とは、本当は親御さんやきょうだいのことを愛していること、です。本当に嫌いであったら、そんなに激しく憎むことはないはずです。もちろんお金の問題はあるにせよ、本当に嫌いであれば、相手方に興味はないはずです。

それは、頑なな態度を取る相手方も、本当は同様なです。ご本人がそれを受け容れるかどうかは、人によりますが。

 

こんな見方もあるんだなあ、とご参考になりましたら、幸いです。

 

★その②を書きました。

www.masamiogw.com


f:id:masamiogw:20210214220406j:image
きょうだい猫。

 

●about me

●お問い合せ・ご感想はこちら

majm-law.jp

●ご相談の流れ/費用/アクセス等はこちら

majm-law.jp

 

●カウンセリングについて詳しく知りたい方はこちら

・なぜ法律相談じゃない相談なのか(法律相談も兼ねたカウンセリングも可能です)

www.masamiogw.com

・どんな相談なの?

www.masamiogw.com

・私が提供できること/したいこと

www.masamiogw.com