小川正美 人生はホントの自分に戻る旅。

普通の会社員から離婚して無職になり一念発起、弁護士になった私の半生とこれからのライフワークを綴ります。

弁護士から見る人間心理。きょうだい間の争いについて。②争いの予防策は人生の棚卸し。

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前回の記事の続きです。

 

前回は何だかどんよりした感じの記事を書いてしまったのですが、強く申し上げておきたいのは、きょうだい間で相続が紛争とならないことの方が多いのです。

「遺産分割は親の愛情の奪い合い」でもありますが、「遺産分割は親の愛情に感謝しきょうだいでお互いを思いやる場」でもあるのです。

 

では、どうすれば骨肉の争いを回避できるのか。親御さんときょうだいで生前によく話し合っておくことももちろん大切ですが、それが可能な場合ばかりではないでしょう。

私が思うのは、当事者お1人お1人が、自分の人生を棚卸しして、怒りや悲しみや嫉妬や悔しさ等のネガティブな感情も感じ切って、親きょうだいに対する愛情に気が付くことが大切だということです。ネガティブな感情も感じ切ってしまえば消えてなくなります。そうして、前回書いたように、嫌だという感情が強く出るのも愛ゆえだと自覚すること、お相手もご自分も許していくことで、人生の大切な時間やエネルギーを争いに費やすことを回避できる、ひいてはご自分も周りのご家族も守ることに繋がっていきます。

 

私のクライアントさんは、私に似て(?笑)、優しい方ばかりです。相続問題に限らずですが、相続の場合、特に、

「大人(長子)だから」 「誰かがやらねばならない」といった理由で、我慢を重ねてこられた人は、自分の悲しみや分かって欲しいというやるせなさといった感情が爆発して、

といったタイプの方の代理人になることが、なぜか多いのです。長子に限らず、長子的役割をしてきた中間子や末子の方の場合もあります。

それは、私が長女だからかもしれません。が、私は、本来そんなに長女っぽい性格ではなく、弟とは適宜役割分担しています。

ただ、母が亡くなった後は、弟というよりも外での関係性において、自分を孤独にしないために、人との繋がりをとても大切にしてきました。それは、時に恋人や友人や後輩のことを必要以上に助けようとしたり、自分がどうしたいかよりも相手の空気を読んでそちらに合わせてしまうような犠牲的な部分もあったなと思います。

そして、本音のところでは、「お前らに私の孤独が分かってたまるか。」って怒っていました。今もまだちょっと拗ねてるかも(笑)なかなかすぐには解消できないですねえ。

 

そういう、いわゆる『損な役割』を引き受けてきた人は、とても優しかったり、仕事ができたり、人望・人脈があったり、行動力があったり、お金を稼ぐ才能があったり、様々な才能に恵まれていて、得をしているようなところもある反面、「自分が人を頼れない」「弱い人・困っている人を作り出してしまう(弱い人に依存させてしまう)」という弱点もあります。

きょうだい間において損な役割を引き受けてきた人の場合、子どもの頃から母親の愚痴を聞いて母の母役(或いは父の代わりに母の夫役)をやっていたり、父か母或いはその両方が早逝したり不在となって家族の世話をしたり精神的に守っていたり、といったことが多いです。そして、対比として、ちやほやされてワガママな長男長女や末子がいて、親だけではなくきょうだいの実務的な面倒も見ていたりします。

年老いてきた親に対しては「弱ってきたから」という理由で献身的に介護をしたり生活の面倒を見たりする一方で、きょうだいの言動の理不尽さへの不満を抱えていたりもします。

 

この不満が、相続が発生した場面で爆発し、争いに発展することが多いです。

「こんなに親の面倒を見てきたのに!」「こんなに家業のために尽くしてきたのに!」「あんた達何もやってない!」といった感情です。

こうした良い人は、とても謙虚で優しいので、法定相続分以上の取得分を求めることは少なく、迅速に解決するなら自分が少し譲歩しても良い、とすら思っていて、実際にそのような提案をされる方も多いです。ところが、そこに対して、【これまでのことや、今回譲歩したことに対して、何ら感謝がない】【きょうだいはそれが当たり前だと思っている】【感謝どころか、更なる要求をしてきた】といった場合に、貯めこんだ怒りが爆発するのです。

正直、お話を聞いていて、ごもっとも、と思うことも多いです。

 

ただ、もし、紛争を予防できる段階(相続がまだ発生していない段階)であるならば。

その怒りを、きょうだいが悪い、で片づけるのではなく。損な役割を引き受けてきた自分が悪いのでもなく。

誰も悪くない、これまではそうするしかなかった、とご自分の頑張りも悲しみも愛情も全てを肯定的に受け容れて、

これから、いかに、本来のご自分の人生を取り戻して生きるか。親きょうだいの面倒を見るという役割を棄てて、自分のために自分の選択で生きていくか、によって、骨肉の争いの防止の可否が変わっていきます。

被害者意識や自己正当化や自己否定は、紛争を産む起爆剤にこそなれ、紛争を防止することには繋がりませんから。

 

相続の争い防止に限りませんが、30~40代から、人生の棚卸しをされることを強くお勧めします。一時的につらい感情を感じることになりますが、その後、ネガティブな感情に振り回されることが減り、振り回されても回復が速くなるので、エネルギーをポジティブな方に向けることができ、人生の後半の幸福度・充実度が違ってきます。

 

もし、私のお手伝いが必要であれば、お声がけ下さいませ。人生の棚卸しはもちろん、家業の法律的なご相談、税理士さんと協同しての相続税対策、遺言作成前の家族会議の立会いと遺言作成、等々、お役に立てましたら幸いです。

 
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