小川正美 人生はホントの自分に戻る旅。

普通の会社員から離婚して無職になり一念発起、弁護士になった私の半生とこれからのライフワークを綴ります。

【ご相談】職場で逆パワハラにあっています。

皆さま、こんにちは!愛し合っていますか?

突然ですが、ご相談コーナーを始めました。不定期回答となりますが、「相談してみたい!」という方は、記事の最後のお問い合わせフォームから、ご相談下さいませ。

今日のご相談は、逆パワハラ事案です(ご相談者のブログ掲載許諾済みです)。

匿名さん

 

職場で逆パワハラにあっています。

私は正社員として今の職場に10年ほど勤めています。私が後輩に注意したら、後輩はその事が気に入らなかったらしく、後輩3人が私とは働きたくないから、私がいるなら辞めます。と言い出しました。そうしたら、社長は「じゃぁ、私が辞めるようにしようか?」などと言い出したようです。え??この前まで、色々楽しく順調だったのに、とどん底な気分です。社長は、私に「クビには出来ないから、会社に来ている会計事務所の人と話してみて。」と言い、来週お話しすることになりました。
別の同僚に相談したら、ちゃんと辞める気ない事を伝えな、って言われたのですが、メンタルゲキ落ちです。アドバイスをお願いします。

 

匿名さま。

つい最近まで楽しく順調だった職場で、複数の後輩から強い反発とのこと。社長が後輩の味方をしたような雰囲気もあり、ショック倍増だと思います。大変お疲れ様です。できるならゆっくり休みを取るなどしてくださいね。匿名さんファーストで。

 

社長が匿名さんに辞めてもらう方向にすることを匂わせたそうですが、法律的には、後輩に業務上の注意をした程度では、解雇することはできません(労働契約法第16条*1

 

社長の言うとおり、「クビにはできない」のです。

また、社長から、会社の顧問の会計事務所の担当者と話して欲しい、と言われたとのことですが、匿名さんが自主的に辞めるようにあることないことを言ってくることも、可能性としてはあり得ます。

ですが、実態を知らない外部の人の言うことですから、基本的にはあちらの言うことには聞く耳を持たなくてよいと思います。それよりも、後述するように、こちらの言い分を聞いてもらいましょう。協議の前に、鏡に向かって「辞めません。」と30回くらい声に出す練習をして下さいね(笑)

なお、会計事務所(こうした人事労務問題で登場するということはおそらく会計業務の他給与計算業務を委託されているのだと思われます)は、社会保険労務士(社労士)や弁護士と異なり、労働法のプロではありません。また、厳密にいえば交渉代理権限の問題もあるのですが、ここでは割愛します。

 

とはいえ、現状のままだと、匿名さんも職場に居づらいことと思います。「私は辞めなくていいんだ!」と法律を盾に突っぱねていると、後輩たち(ひょっとしたら社長も)は正しさの争いで負けたような気持ちになって、ますます匿名さんに反発をして、引き続き下剋上の機会を伺うことでしょう。匿名さんも、そんな殺伐とした職場を望んでおられるわけではないと想像します。

職場の状況や後輩への注意の内容が分からないので正確な回答ではありませんが、解決案としては、まずは、①その後輩たちと別々の部署があるのであれば、匿名さんが異動することが考えられます。物理的距離を取ることで、心理的距離も取り、双方のほとぼりが冷めるのを待つ、という手段です。
ただ、異動できない場合はもちろん、異動できたとしても、この問題がどうして生じたのか、またどうすれば解決できるのか、経営者側(管理職がいるなら管理職も)も真摯に対応するべきだと考えます。なぜなら、こういう問題は、匿名さんを排除したとしても、それだけでは人を変えて再発するおそれがあるからです。
ひょっとしたら、実は後輩たちの不満の根っこは匿名さんではなく経営側にあるのかもしれませんし。

 

では、匿名さんとしてはどうすればよいのか?ということですが、ちょうど会計事務所の方と協議をする機会があるということですので、協議の際に、②「この問題がどうして生じたのか、またどうすれば解決できるのか、経営者側(管理職がいるなら管理職も)も真摯に対応して欲しいと思います。私も真摯に対応します。」と伝えてください。
この話を匿名さんからもちかける際、大切な視点は、中立の観点です。匿名さんが後輩に注意した内容が正しいとしても、正しさのレベル(人の生命身体の安全にかかわるようなことであれば絶対的に正しいけど、そこまで重要なことではない、など)や、言い方によっては後輩の反発を食らいます。典型的には、例えば、後輩は、「こんな小さいことであんなキツい言い方で叱られた。」と思っているかもしれません。
今回のケースでどうだったかは分かりませんが、匿名さんが、自ら、「自分が全面的に正しいとは思っていないし、反省すべき点もある。」と謙虚な姿勢を示して、「だけど、後輩たちにも●●な点があって、それは会社全体のためにはならないから、ちゃんと社長が公平に双方の話を聞いてほしい。」と言うのです。

匿名さんの認識ではつい最近まで上手くいっていたとのことですから、後輩たちには誤解があるのかもしれません。そうであるなら、「誤解の可能性があると思う。」と伝えてください。

 

メンタルゲキ落ちとのことですが、果たしてメラミンスポンジとどちらがより落ちるのかが気になりますが(すみません(笑))、匿名さんが後輩を注意したのは、匿名さんが仕事に熱心で誠実だから、という見方もできますよね。

どうか、ご自分の中の仕事への愛、これまでやってきたことに目を向けて、ご自分を貶めないで下さいね。


そして、忘れてはいけない視点ですが、これからの会社や後輩の対応次第では、もうここは匿名さんには相応しくない場所だ、ということになるかもしれないですよね。

辞めるも辞めないも、選択肢は匿名さんの手中にあります。

自分を責めず(これが一番大事)、相手も責めず、ゆっくり決めて下さいね。

 

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*1:

(解雇)
 第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。